第24回美術鑑賞会「草間彌生展」を観て 【実施報告】

Posted by on 4月 24, 2017 in 新着情報
第24回美術鑑賞会「草間彌生展」を観て 【実施報告】

会場に入ると大きな部屋。壁面のすべてを飾る数えきれない絵画群。床には大きな花弁のオブジェ。空間は草間彌生の水玉と網目で包まれた色彩の洪水です。子供たちは「たのしい~」「きれい」と大はしゃぎ。大人たちは多少戸惑いながらシャッターを切っていました。

それに続く部屋は彼女の生い立ちからです。幼い頃から幻覚、幻聴に悩まされ、これらから逃れるため水玉や網目を描き続けた作品群です。作品からはその頃の苦悩が伝わってきます。展示はシュールレアリズムな作品から米国で「前衛の女王」と呼ばれたパーフォマンスへ。さらに2001年朝日賞を受賞した洗練された作品まで大きな回廊になって、最後には元の大きな部屋に戻りました。

現代絵画では異例の動員力。昨秋文化勲章を授与され、それに先立ち米国タイム誌が「世界で最も影響力のある100人」選び、そのためか外国人の観客が目立ちました。

抽象画家、現代絵画の基本的なテーマは「自分の感情の表現」で画家の内面に深く根差したものであり、その感情が普遍的なものもあれば個人特有のものもあり、これらが抽象画、近代絵画が判らない、理解できない所以でもあります。

会場ではしゃいでいた子供たちは絵画に余計な前知識やルールがなく、見たまま感じて楽しんでいる姿は作者の意図する気持ちを敏感に感じ取っているのでしょう。

(H.K.記)