第17回音楽鑑賞会【実施報告】

Posted by on 7月 17, 2023 in 新着情報
第17回音楽鑑賞会【実施報告】

2023年度第一回目の音楽鑑賞会が3月21日にあり、音楽好きが集まりました。演奏は恒例の東京プロムナード・フィルハーモニカーによる定期演奏会。コロナ禍の合間をぬって開催された昨年とは違い、お客さまも500人を超える大盛況のもと、指揮者の佐藤さんも気合の入った演奏会となりました。

本日は「春」をテーマに2曲。前半はベートーベンの「田園」、そして後半はシューマンの「春」です。まさにこの時期に相応しい曲目です。

まずは「田園」。正式には交響曲第6番へ長調op.68「田園」。作品番号67の交響曲第5番(「運命」)と、ほぼ同時期に完成したものです。しかしながら曲の性格は対照的で、「運命」は闘争的で劇的な構成であるのに対し、「田園」はベートーベンの住んでいたウイーン郊外の自然と、そこに暮らす人々の愛情が曲全体に溢れています。

第1楽章、第2楽章は、「田舎に着いた時の楽しい気分」や「小川の情景」が表現され、穏やかで親しみ易さを感じます。最後にはオーボエによるウズラ、クラリネットによるカッコウの鳴き声が。

第3楽章はひなびた舞曲を思わせるスケルツォで、その合間にテンポの速いトリオが挟まれ、「人々の楽しい集い」が想定されます。そして第4楽章は「雷と嵐」。前章の人々の踊りが最高潮に達したところに突然の嵐。その凄さを表現するために、ピッコロ、トロンボーンを加え、チェロとコントラバス、さらにティンパニも。

第5章は「牧歌、嵐の後の喜びと感謝」。ハ長調からへ長調に転調して雰囲気を一新し、嵐が過ぎ去った喜びと感謝に満ちた美しい歌が、オーケストラ全体に広がって行きます。そして祈りの音楽からやがて感謝と安心に満たされ曲が終わります。

後半はシューマンの交響曲第1番変ロ長調op.38「春」です。不思議なことに、この曲にはベートーベンの「田園」と幾つかの類似点があります。先ず初稿には第1楽章「春の始まり」、第2楽章「夕べ」、第3楽章「楽しい遊び」、第4楽章「たけなわの春」という表題がつけられていました(表題は後に削除)。また第2楽章と第3楽章は切れ目なく演奏され、第3楽章のスケルツオも「田園」と同じ構成です。

第1楽章は春を告げるようにファンファーレに始まり、そしてきびきびとしたソナタ形式の主部へ。第2楽章は春の穏やかな夕べを思わせる歌謡的な楽章です。第3楽章は5部構成のスケルツオ。最後の第4楽章はソナタ形式で朗らかに高揚して終わりを告げます。

演奏が終わっても鳴り止まない拍手にアンコール演奏。最後はまたまた「ラデッキー行進曲」で、盛り上げてくれました。

記 平林秀博(1973年 商卒)